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知っておきたい遺言書の知識(後編)

知っておきたい遺言書の知識(後編)

どんな記事?

・「推定相続人の廃除」で特定の人の相続権を奪うことができる

・ただし虐待や重大な侮辱、著しい非行が認められなければならない

・遺留分を侵害すると遺族間で争いが起こる可能性があるので注意

・相続欠格者にあてはまると、被相続人・相続人の意思に関係なく相続権は剥奪される

 

 

(内容)

前編では、遺言書の書き方をご紹介しましたが、では特定の人には相続をさせたくない、あるいは特定の人に多く財産を残したい場合はどうすればいいのでしょうか?

 

 

長男は問題ばかり起こして、親不孝なためどうしても財産を相続させたくないなど、相続をさせたくない相続人が出てくることがあるでしょう。また相続欠格者に当たると、被相続人や相続人の意思とは関係なく、相続権を失うこともあります。

 

まず、相続人となる予定の人の権利を消去させたい場合は、その相続人の権利を奪う手続きがあります。「推定相続人の廃除」です。推定相続人の廃除は、生前に家庭裁判所に請求する方法と、遺言書にこの人には相続をさせたくないという意思を明記するという方法があります。また推定相続人の廃除は、いかなる場合も認めらるわけではありません。廃除をするにはその相続人に廃除事由が必要となります。被相続人に対する虐待や重大な侮辱を加えたとき、または著しい非行があったときです。例えば、多額の借金を肩代わりさせられた場合、被相続人に対して継続的な暴力があった場合などです。

ここで注意しなければならないのが「遺留分」です。遺留分とは相続人に対して一定の割合の財産を保証したものです。全財産をある1人に相続させるといった極端な指定をすると、遺留分を侵害された者が、遺留分の請求をし、遺族間で争いが起こる場合もあるので注意してください。

 

 

次に相続欠格者にあてはまるのはどんな場合でしょうか。相続欠格者とは、相続人の資格を失うことです。推定相続人の廃除は、被相続人の意思によって、権利を失いますが、相続欠格者にあてはまると、被相続人や相続人の意思関係なく、相続権を奪われます。これは民法891条で定められた「相続欠格事由」に該当する場合、相続欠格者となります。

相続欠格事由は下記の通りです。

(1)好意に被相続人や相続人の先順位・同順位の相続人を殺したり、殺そうとしたりして、刑に処せられた者

(2)被相続人が殺害させたことを知っていたのに、これを告訴・告発をしなかった者

(3)詐欺または強迫によって、被相続人が遺言書の作成・取り消し・変更したりすることを妨げた者

(4)詐欺または強迫によって、被相続人の遺言書作成・取り消し・変更をさせた者

(5)遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿をした者

以上のような事由に該当した場合は、裁判者の審判や調停を必要とせず、権利を剥奪されます。

 

0904

 

知っておきたい遺言書の知識(前編)

知っておきたい遺言書の知識(前編)

どんな記事?

・遺言書とは、自分の財産の行方を明記したもの

・被相続人が生存中は遺言書に効力はなく、死亡後効力は発生する

・法律によって定められた方式でなければ遺言書は無効となってします

・遺言書は日常生活の中で遺言をする「普通方式遺言」と特殊な状況下において認められる「特別方式遺言」の2種類がある

 

 

(内容)

遺産は被相続人が生前自ら築いた財産です。ですから、その財産をどう処分するかは被相続人自身が決めることができます。その意思表示を形にし、明記したものが遺言書です。遺産相続は争いに発展する可能性もあるので、その争いを防止する方法として遺言書は大変有効です。しかし、この遺言書は被相続人が生存中は効力をがなく、死後に効力が生じるため、有効な遺言書とするには、法律によって定められた方式で作成する必要があります。そこで今回は、遺言書の書き方や遺言書が持つ効力についてご紹介します。

 

 

遺言書には、2種類の形式があります。「普通方式遺言」と「特別方式遺言」です。

 

 

◯普通方式遺言

普通方式遺言は、日常生活の中で遺言をする場合はこの形式で遺言書を作成する必要があります。この普通方式の遺言書には、①直筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言の3種類があります。

 

①直筆証書遺言

これは、書面に遺言書を作成した年月日、氏名、内容を直筆で記入し、印鑑を押印するというものです。これは3種類の中では、もっとも簡単な方法で、費用もほとんどかからず、証人も不要です。

 

②公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言書を公証役場で公証人に作成してもらうという方法です。この方法は最も真正性が確保され、効力は確実ですが、作成に時間がかかり、費用や証人も必要となります。

 

③秘密証書遺言

これは直筆証書遺言と公正証書遺言のちょうど間に位置する方法です。遺言書を作成した人が遺言書を公証人のところへ持って行き、遺言書に存在を公証人に証明してもらいます。この方法も、公正証書遺言と同じように費用や証人が必要となりますが、真正性が確保されますし、遺言の内容も証人に知られることはありません。

 

 

◯特別方式遺言

普通方式と違い、普通方式遺言を作成することができないような状態に陥っている場合に、この方式で作成することができます。この特別方式遺言にも①一般危急時遺言②難船危急時遺言③一般隔絶地遺言④船舶隔絶地遺言の4種類があります。

 

①一般危急時遺言

これは、病気などによって死亡の危機が迫っており、自ら署名押印をすることが難しい人に利用されるものです。したがって、遺言者本人が直筆し、押印をする必要はありませんが、3名以上の証人が必要になります。またその証人は書面を作成し、署名押印をしなければなりません。

 

②難船危急時遺言

船舶が遭難するなどして、死亡の危機がある場合に認められる方法です。この場合も証人が2名以上必要となり、証人は書面の作成、署名押印をしなければなりません。また難船危急時遺言は船が遭難した場合だけでなく、飛行機が遭難した場合にも認められます。

 

③一般隔絶地遺言

伝染病のため病院で隔離されている者、また刑務所で服役している者が利用できる方法です。警察官1人と1人以上の証人が必要となります。

 

④船舶隔絶地遺言

船舶に乗船しており、外界から隔絶されている人に認められている方法です。船舶関係者1名と証人が2名以上必要となります。この場合も、証人などは書面を作成し、署名押印をしなければなりません。

 

0903

 

遺留分ってなに?

遺留分ってなに?

どんな記事?

・遺留分とは法定相続人に対して一定の割合の財産を保証するための制度

・遺留分を請求するには財産を相続した人に「遺留分現殺請求」をしなければならない

・この権利には時効があるので注意が必要

・権利を行使する際は、後々トラブルになることも想定して証拠が残る形ですると良い

 

 

(内容)

相続財産は亡くなった人(被相続人)のものであるため、その財産を自由に処分することができ、遺言書を作成すれば法定相続人以外の者に全てを相続させることもできます。

例えば「愛人に全財産を与える」などといった遺言書です。

しかし、その自由を全て許してしまうと、残された家族が生活すらできなくなってしまうという事態が起こる可能性もあります。

こうした事態を防ぐために、民法1028条で、法定相続人に対して一定の割合の財産を保証するために遺留分という制度が設けられています。

「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。」

つまり、法定相続人の第3優先順位である兄弟姉妹は、遺留分の制度は適用されません。

 

 

この侵害された遺留分を請求するには、財産を相続した人に「遺留分減殺請求」をしなければなりません。

遺留分として請求できる割合は、誰が法定相続人になるかによって変わります。

また遺留分減殺請求の権利には時効があります。

民法1042条で「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から、1年間これを行わないときは、時効によって消滅する。相続の開始の時から10年を経過したときも、同様である。」と定められています。

つまり遺留分減殺請求は、相続が開始された時、および自分の遺留分が侵害されていると知った日から1年以内、またそれを知らなかったとしても相続開始から10年以内にする必要があります。

それ以上たってしまうと、せっかくの権利が消滅するので注意してください。

 

 

では、遺留分の割合はどのようになっているのでしょうか。

先ほども述べたように、遺留分の割合は、誰が法定相続人かによって変わります。

 

1.配偶者のみ

 被相続人の財産の2分の1

2.配偶者と子供 または 配偶者と父母

 被相続人の財産の4分の1ずつ

3.父母のみ

 被相続人の財産の3分の1

 

 

また法定相続人は必ず遺留分減殺請求をしなければならないわけではありません。

被相続人の遺言に納得しているのであれば、権利を行使する必要はありません。

また侵害された遺留分を請求するときは、裁判所を通す必要もないので、相手方との話し合いで解決が可能であれば、丸く収まります。

しかし、話し合いに応じないのであれば、調停や審判または裁判で決着をつけることになります。

ですので、後々トラブルになることを想定して、権利を行使する場合は、証拠が残る形、例えば配達証明付きの内容証明郵便で行うと良いでしょう。

 

0902

意外と揉める?!知っておきたい遺産分割の知識

意外と揉める?!知っておきたい遺産分割の知識

どんな記事?

・遺産分割での争いは、資産の少ない家庭の方が起こりいやすい

・配偶者と血族相続人に相続権が与えられている

・血族相続人には優先順位があり、第1優先順位に該当した場合は、それ以外の者は相続人になれない

・相続の割合も法律によって定められている

 

 

(内容)

遺産分割とはその漢字通り、相続人同士で、遺産を分割することです。

相続する人が1人だけの場合であれば、遺産はその人が全て受け継ぐことになるので、問題は起こらないでしょう。

ですが、相続人が複数いる場合は、問題が起こる可能性があります。

遺産相続で争いが起こるのは、資産家にしか関係ないというイメージがあるかもしれませんが、実際は遺産の少ない家庭のほうが争いが生じるというデータがあります。

今回は、そんな遺産分割について簡単に説明したいと思います。

 

 

そもそも、相続人になる資格があるのはどんな人なのでしょうか。

戦前は、長男1人が全ての財産を受け継ぐことが認めれていました(家督相続)が、現在の法律では、この制度は廃止されており、被相続人の配偶者(配偶者相続人)や血族のある者(血族相続人)に相続する権利が与えられています。

配偶者相続人は1人しかいないので、常に法定相続人ですが、子供や兄弟などの血族相続人には下記のように優先順位がつけられています。

 

第1優先順位:直系卑属(子・孫など)

第2優先順位:直径卑属(父母・祖父母など)

第3優先順位:兄弟姉妹

 

つまり被相続人に子や孫がいれば、第1優先順位になるため、第2・3優先順位の両親や兄弟には法定相続人になれないということです。

 

 

では、その相続分はどのうように決められるのでしょうか?

民法907条により基本的に相続財産の分割は相続人の間で話し合って決めてよいと定められています。

だだ、実際は、基準となる分割の方法がないと、話し合いで解決することは難しいでしょう。

したがって、次のような基準が設けられています。指定分割と法廷分割の2つです。

指定分割とは、亡くなった人の遺言書に書かれている内容通りに、遺産を分けるという方法です。

一方で、法定分割とは、民法で定められている通りに、遺産を分けることです。

したがって、遺言書がなかったり、遺言書があっても遺産について明記されていなかったりした場合は、この法定分割を1つの目安とします。

法定分割での割合は以下のように定められています。

 

相続人が配偶者と子供の場合

 配偶者:2分の1

 子供 :2分の1

 

相続人が配偶者と親の場合

 配偶者:3分の2

 親  :3分の1

 

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合

 配偶者:4分の3

 兄弟姉妹:4分の1

 

子供や親、兄弟姉妹が複数人いる場合は、その中で均等に分割します。

また被相続人に配偶者がいない場合も、その遺産を子供や親などの間で均等に分割します。

 

 

遺産分割でもめてしまった場合、辛い思いをするのは当事者です。

様々な事情があるとは思いますが、遺産分割はなるべく話し合いで合意をできるよう努力してください。

 

0901

家族が借金をしていたら、自分にも返済義務がある?!

家族が借金をしていたら、自分にも返済義務がある?!

どんな記事?

・保証人になっていなければ原則家族には借金の返済義務はない

・配偶者が日常家事債務を理由に借金をした場合はもう一方にも返済義務が生じる

・法定代理人は未成年者が借金することに同意した場合は支払い義務がある

・相続はプラスもマイナスの財産も受け継ぐ

 

 

(内容)

知らない間に家族が借金をしていた。家族なんだから代わりに支払ってくださいと迫られる。こんなとき、家族であるあたなにも借金の返済義務はあるのでしょうか?

 

まず、家族が借金をしていたとしても、保証人になっていなければ基本的に家族には返済義務はなく、返済義務のない人に対して業者などが返済を迫ることは違法となります。ただし、保証人になっていなくても返済義務を負わなければならない場合もあります。では、返済義務が生じるのは、どんなケースなのでしょうか。

 

 

ケース1:夫婦の場合

夫婦の場合、借金をした理由によって、返済義務が生じるかどうかが変わってきます。ギャンブルや趣味など、個人的な出費での借金の場合は、配偶者は返済義務を負いません。ですが、民法761条の日常家事債務にあたる借金、つまり生活費や教育費など、日常生活において必要なお金のための借金の場合は返済義務が発生します。

また、借金をした本人の配偶者に日常家事債務として返済を迫る場合は、キャシング業者は、それが日常家事債務であることを証明しなければなりません。

 

ケース2:未成年者の法定代理人だった場合

未成年者が借金をする際は、法定代理人の同意が必要となります。ですから、もしあなたが未成年者の法定代理人(通常は親)で、お金を借りることに同意した場合は、あなたに支払い義務が生じます。一方で、法定代理人の同意を得ることなく、未成年者が借金をした場合は、法定代理人に支払い義務はありません。これは貸金業法13条により、未成年者への貸付が禁止されているため、契約自体が無効になるからです。だだし、未成年者が契約時に年齢を偽っていたり、同意書を偽造していた場合も法定代理人に支払い義務が生じるので注意が必要です。

 

ケース3:借金をしていた人が亡くなり、自分が法定相続人である場合

相続とは亡くなった人の財産を受け継ぐことですが、この財産には、借金も含まれます。したがって、借金をしていた人の財産を相続すると、相続人には借金返済義務が発生します。なので、借金などマイナス財産の方が多い場合は、相続は放棄した方が良さそうですね。もちろん、マイナスの財産のみ相続を放棄することはできないので、しっかりと財産の調査をしたり弁護士などの専門家に相談してください。

また、相続放棄の手続きは、相続を知ってから3ヶ月以内に行わなければならず、この手続きは相続人一人一人が行う必要があるので注意してください。

では、自分が相続人であると知らず被相続人が亡くなって、3ヶ月以上たってしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合は明確な理由がなければなりません。例えば、自分より相続の優先順位が高い人が相続放棄をしていたことを知らなかった場合などです。ただ知らなかったという理由だけでは認められないので注意が必要です。ちなみに、遺言書がなかった場合、相続人の優先順位は、配偶者・子供→孫→父母→祖父母→兄弟姉妹→兄弟姉妹の子供となっているので参考にしてください。

 

 

いかがでしたか?家族が知らない間に借金をしていたなんて恐ろしいですが、いつこのような状況に遭遇するかはわかりません。これらの知識を知っているのと知らないのとでは、かなり変わってくると思うので是非参考にしてください。