老後

Home / Posts tagged "老後"
海外の年金制度-東南アジア編-

海外の年金制度-東南アジア編-

どんな記事?

・東南アジア諸国でも高齢化が進みつつある

・タイには「プロビデント・ファンド」という任意加入(上場企業は強制加入)の制度

・シンガポールは定年退職後などの保障として設置されている、国による強制積立金制度

・インドネシアやフィリピンは公的年金制度は存在しないが、医療保険制度が確立

 

 

(内容)

今回は、東南アジア諸国の公的年金制度について見ていきます。

 

タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピンなど、日本と比べるとまだ先進国とは言えない東南アジア諸国でも徐々に高齢化が進みつつあります。日本と同様に、東南アジアでも高齢化に伴って問題となっているのが、年金制度や医療保険などの社会保障制度です。

 

まず公的年金制度について、東南アジアの中でも年金制度を含めた社会保障制度の充実を積極的に行っているのがタイです。タイでは年金積立制度の1つとして「プロビデント・ファンド」という任意加入(上場企業は強制加入)があり、大企業を中心に約8700社で採用されています。これは日本の401Kのようなもので、従業員と雇用者が毎月半分ずつ出し合って積み立てた資金をファンドマネージャーが運用し、それによって出た利益と元本とを従業員の退職時に合わせて支給するというものです。従業員の積立額は月収の3~5%ほど、給料から天引きされています。プロビデント・ファンドは高い収益が見込まれる上、退職までは引き出すことができないので確実な貯蓄となり、税制上でも優遇処置を受けることができるのがメリットになっています。

 

一方、シンガポールの年金制度は「CPF」と呼ばれるものです。従業員が定年退職後、あるいは不慮の事故等により働けなくなった場合の保障として設置されており、国による強制積立金制度です。従業員は給与の20%、雇用者は給与の14.5%が積立金として天引きされ、政府によって管理されます。積立金には2.5%の利子がつき、それら全ては非課税となります。積立額より将来受け取る額の方が少ないという事態が発生せず確実に受け取ることができるのがメリットですが、支給期間は積立金が尽きるまでとなっているため、長生きしすぎると資金不足になる恐れがあるのがデメリットです。

 

一方、インドネシアやフィリピンには公的年金制度が存在していませんが、シンガポールにはない「BPJS」や「SSS」といった医療保険制度も確立されています。

 

 

海外の年金制度-ヨーロッパ編-

海外の年金制度-ヨーロッパ編-

どんな記事?

・スウェーデンでは年齢・職業関係なく、一定の所得があれば、保険料の負担が義務

・財源の全額が税金である最低保障年金もあり、保険料を負担していない低所得の人などでも年金が受給できる

・イギリスの制度は自営業者も被用者も共通の基礎年金、それに上乗せされる被用者対象の国家第二年金の2つ

・ドイツでは職業ごとに加入する制度が異なる

 

 

(内容)

前回に引き続き、今回も海外の年金制度について見ていきます。

 

ヨーロッパの公的年金制度の中で、独特な制度を持っているのがスウェーデンです。1999年にスタートし、スウェーデン方式と呼ばれるこの制度は、日本と異なり年齢や職業とは無関係に、一定の水準を上回る所得があれば、保険料を負担するよう義務付けられています。所得に18.5%と固定された保険料率を掛けることで保険料が計算され、その範囲内で給付を行うという自動財政均衡メカニズムを導入しているのが特徴です。保険料が固定されているため、次世代の負担が増えないようにしています。

 

自営業者は保険料を全額自己負担、被用者は事業主と被保険者本人が負担することになっています。所得比例年金以外に、財源の全額が税金である最低保障年金もあり、保険料を負担していない低所得の人などでも年金が一定額は受給できる、というものになっています。

 

 

ヨーロッパで在留邦人が最も多いイギリスの公的年金制度は日本とよく似ており、2階建ての仕組みになっています。自営業者も被用者も共通の基礎年金、そして基礎年金に上乗せされる被用者対象の国家第二年金の2つに分けられます。基礎年金は16歳以上で一定以上の所得のある人は強制的に加入しなければならず、それ以外の人は保険料の納付が免除となります。

 

日本と異なるのは、免除を受けた期間が受給資格判定に加算されないところで、年金受給の権利を取得するには任意加入が必要になります。なお、基礎年金に強制加入した人は国家第二年金にも強制加入になります。ただし、個人年金、職域年金のような私的年金加入を選択すると、国家第二年金への加入は免除になるだけでなく、第一種保険料から国家第二年金の保険料相当分の金額が免除になります。

 

 

ヨーロッパで在留邦人がイギリスの次に多いドイツの年金制度は、日本と違って基本的に職業ごとに加入する制度が違います。最も対象者が多いのが一般被用者年金保険で、その保険料は月収に保険料率を掛けた金額です。被用者の場合は事業主と折半して負担、それ以外の加入者は全額自己負担となっています。被用者のうち、週に15時間以内の労働時間、かつ一定額以下の収入である場合、被用者の負担は軽減されます。また保険料収入に不足があれば国庫負担となり、2015年現在は給付費用のうち30%程が国庫負担です。

 

 

海外の年金制度-アメリカ編-

海外の年金制度-アメリカ編-

どんな記事?

・アメリカの公的年金制度は「OASDI」(退職・遺族・障害保険制度)

・一般被用者は加入が義務付けられている

・専業主婦や学生など希望していても強制加入対象者ではない人の場合、加入できないという仕組み

・受給資格として、原則10年間の加入が必要

 

 

(内容)

アメリカの公的年金制度は、「OASDI」(退職・遺族・障害保険制度)というものになっています。

 

この制度は、自営業者・公務員や民間企業の会社員のような一般被用者は加入することが義務付けられています。自営業者は年収400ドル以上と定められていますが、自営業者も一般被用者も年齢とは無関係に仕事を続けている間は、OASDIへの加入が義務となっています。ただし、一部に例外はあります。

 

この制度は1937年にスタートした制度で、始まったばかりの頃は公務員は適用の対象外でした。2015年では、連邦政府職員のうち1984年以降に採用された人は強制加入、州や地方の政府職員は協定によって、団体での任意加入が可能となっています。そのため、公務員はこの制度だけでなく、独自に年金制度をもっていて、上乗せすることができます。

 

日本では専業主婦は第3号被保険者、無職や学生の人は第1号被保険者に該当しますが、アメリカのOASDIにはこれらの人は加入できません。アメリカでは日本の個人単位での任意加入制度にあたるものがなく、希望していても強制加入対象者ではない人の場合、加入できないという仕組みになっています。

 

OASDIには、大まかに分けて4種類あります。老齢年金、家族年金、遺族年金、障害年金です。日本にはない家族年金があるのが特徴と言えますが、これは18歳未満の子供、老齢年金受給者の配偶者に支給されるものなので、日本で言う老齢厚生年金の加給年金額に相当します。

 

なお、OASDIはその受給資格として、原則10年間の加入が必要となっています。しかし、日本とは保険料納付要件が異なった考え方となっています。日本の場合、月単位での保険料納付要件判定が行われていますが、アメリカでは四半期ごとに1年の収入に応じ、1単位としてカウント、最高4単位が付与されて10年相当となる40単位で受給資格が満たせます。支給開始年齢は2002年から段階的に引き上げられ、2009年から2020年の間は66歳となっています。1960年以降に生まれた人は、67歳からの支給開始予定になっています。

 

さらに、上記で説明した公的年金に上乗せされるものとして、企業年金があります。 企業年金には、大別すると「確定給付型企業年金プ ラン」及び「確定拠出型企業年金プラン」の2種類があります。

 

確定給付型企業年金プランの特徴とは、
①加入者に対して、 勤務年数、給与等を考慮し予め給付額を約束していること
②拠出金 の拠出は事業主のみで、加入者からの拠出は必要 としない

 

一方、確定拠出型企業年金プランの特徴とは、
①給付額は、受給時までに制度に拠出された拠出金の合計額と、加入者(被用 者)が選択した方法での運用実績によって、事後的に決定される
②拠出金の拠出は、加入者が行 うものを基本としつつ、事業主からの一定の追加拠出 を認めている

 

企業年金プランは任意であ り、法的に強制されていません。日本でもよく耳にするかもしれませんが、日本版401kのもとになっているものです。

 

 

年金積立金の現状

年金積立金の現状

どんな記事?

・公的年金制度は、”世代間扶養”という考え方がベース

・年金積立金は、毎年財政のチェックが行われている

・GPIFのポートフォリオの構成が大きく変わってきている

・GPIFの運用成績が良くないと、最低限保障の基礎年金が目減りするかも・・・

 

 

(内容)

公的年金制度は、現役の世代から高齢者世代へ仕送りをする”世代間扶養”という考え方がベースになっています。

 

しかし、少子高齢化による労働者の減少と受給者の増加によって、年金の安定的な給付が困難になることが予想されています。そこで、納付された保険料の一部を積立金として取り分けて債券や株式として運用し、安定収入とする取り組みがなされています。この積立金の運用を担当しているのがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。

 

年金制度は将来のことを考えた制度であり、また法律で要請されています。なので、単年の年金積立金の実績は年金財政にすぐに影響を与えるわけではありませんが、毎年の年金財政のチェックは行われています。

 

厚生労働省によれば、自主運用を開始した平成13年度から平成26年度までの累積収益額は50.7兆円、平均収益率は3.18%とされています。一般的によく知られている長期運用・分散投資をすることによってリスクを減らそうとしています。物価が上昇することも十分に考えられるので、効率的な運用も求められています。基本ポートフォリオ(資産構成割合)は、以前は日本の国債と株式がおよそ7割、外国の債券と株式がおよそ3割でしたが、平成26年末より国内債券の割合を下げて国内外の株式割合をそれぞれ25%に高める決定を下しました。そしてこの決定が、安定的な資産運用と年金給付にどのような影響を及ぼすのか、市場だけでなく国民の注目も集まっています。

欧米諸国でも年金資産の運用は珍しいことではありませんが、日本の制度を特異なものとしているのは、財源と危機管理です。最低保障として国民共通の年金は運用しない国が多い中で、日本の運用方法は成績が悪ければ基礎年金までも目減りしてしまうリスクがあります。

 

また、損失が生じた場合に穴埋めをどう行うのかについても明確な規定がない状態が続いています。現在のところでは、給付額の削減と保険料の値上げによって補てんする、という見通しが一般的です。”日本経済が活性化して経済成長を促すためにも、株式市場にさらに積立金を投入し株価を下支えするのは合理的だ”としてこの変化を歓迎する考えもあります

 

ただ、安全資産とみなされる国債の割合を下げて、より短期的で変動リスクの大きい株式に切り替えることには、”「100年かけて計画的に活用する」という年金積立金の理念と調和するのだろうか?”という疑問の声も生じています。

 

日本の年金制度の実態は?

日本の年金制度の実態は?

どんな記事?

・障害年金は、条件をクリアすれば65歳未満でも受け取れる

・厚生年金への加入者は減少傾向にある

・少子高齢化の問題に伴い、年金の受給者数と労働人口の比率がアンバランス

・GPIFのポートフォリオが大幅に変更されている

 

 

(内容)

日本の年金制度は、20歳以上の人が皆加入する国民年金と、一般企業に勤める人が加入する厚生年金、そして公務員などが加入する共済年金から構成されます。少子高齢化が進む昨今では、”現行の制度を維持していくことが困難なのではないか?”という根本的な問題点についての議論が報道などでなされています。

 

国民年金には、65歳になった時から支給される老齢年金に加えて、障害を持った場合に支給される障害年金(65歳未満でも受け取れる)、被保険者や受給者が亡くなった場合にその遺族に給付される遺族年金があります。最近では、経済的な理由によって保険料を納付できない人や、保険料納付の猶予申請、また保険料全額免除の申し込みが増えてきています。加えて、保険料の引き上げと支給額の引き下げが繰り返されているため、年金制度への不信感が強くなり、保険料を納めることを止めてしまった加入者もいます。これらの要因によって保険料収入の減少に歯止めがかからない状況が続いています。

 

厚生年金も国民年金と同様、老齢年金と障害年金、遺族年金で構成されています。共済年金の制度は厚生年金にほぼ準じるもので、扱われる金額や加入者数という視点で比較すると、かなり規模の小さいものと言えます。近年ではパートなど非正規雇用者の増加によって、厚生年金への加入者の減少が続いています。また企業の賃金も伸び悩んでいるため、保険料収入の増加が抑制されています。

 

そして少子高齢化の問題が年金制度への不安を煽るものとなっています。労働人口の減少と受給者の増加に歯止めがかからない状況下で収支のバランスを保つためには、保険料の引き上げと給付額の引き下げ、そして受給開始年齢の引き上げが必要になります。しかしその効果も限界があるので、根本的な施策として経済成長率や出生率改善への注力が求められています。

 

最後に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用を見てみましょう。平成26年10月第2期中間目標が変更され、長期的な積立金の実質運用利回りを最低限のリスクで1.7%確保することが目標になりました。加えて、第1期中間目標と第2期中間目標変更前と比較して、国内債券の資産構成比が65・60%→35%と大幅に小さくなりました。これは、日本国内の金利低下を反映して、債券の利回りが低迷していることも要因と考えられるでしょう。債券と比べて、リスクが高い株式の比率が大きくなったことは不安要素だと感じてしまいます。

 

GPIFの基本ポートフォリオ比率

国内債券

35%

国内株式

25%

外国債券

15%

外国株式

25%